大阪府 泉佐野市

大阪府南部の泉佐野市は室町時代から、遠く対馬へも出かける漁船集団があり、回船業も盛んでした。江戸時代になると、大坂から江戸へ年中航海する菱垣回船や樽回船、日本海側の藩の米を大坂へ運ぶ船として、佐野の船主たちが活躍します。この中には井原西鶴の『日本永代蔵』にも登場する食野家や唐金家などの豪商がいました。
十八世紀中ごろに北前船が登場すると、彼らはいち早く参入し、巨万の富を築きました。その栄華の跡は、船主たちが蔵を建てならべた海岸沿いの「いろは蔵通り」など、市内各所に見られます。

  • 船主集落

泉佐野市の構成文化財

  • 食野家邸宅跡

    北前船で財をなした豪商・食野家の本宅跡。屋敷跡、古絵図、井戸枠、松等が残る。

  • いろは蔵通り

    船主たちが海岸沿いに建てた蔵群。沖中士が船待ち時に競った力石も残る。

  • 西法寺

    豪商・食野家が建立した浄土真宗の菩提寺。船主専用の鼓楼門、奉納経典がある。

  • 春日神社

    北前船の船主や商人が航海の安全を祈願して奉納した灯篭や狛犬が残る神社。

  • 妙浄寺梵鐘

    豪商・唐金家が航海の安全を祈願して奉納した鐘。

  • 旧佐野浦の町並み

    北前船の船主・商人により泉州一の賑わいをみせた旧佐野浦の町並み。商店街には食野家家紋を屋号にした商店も残る。

  • 野出墓地

    北前船で財をなした豪商・食野家や唐金家の墓所、寄港の目印となった「野出の三昧松」が現存する。

  • 食野一統資料群

    豪商・食野・唐金・矢倉家たち(食野一統)が遺した古文書群。歴史館いずみさの所蔵。

  • 禅徳寺船主資料群

    豪商食野家が奉納した品々。仏像や船主の肖像画等がある。

  • ふとん太鼓

    北前船により、東瀬戸内地方や淡路島よりもたらされた飾り山車。豊漁・安全祈願として春日神社の夏祭りで使われる。 

  • 佐野くどき(佐野踊り)

    江戸時代、食野家の庭先で紀州藩主に披露したのが始まりの町場の口説(くどき)節(ぶし)。船主「食野長者」の出世歌が語り継がれている。

  • 奉納弁財船

    船主が中庄の奈加美神社に奉納した江戸期の北前船模型。